◆日本型ERPとは

  「20世紀型」のビジネスプロセスでは、“まとめる”ことが重要なテーマでした。何十枚、   何百枚という売上伝票があったとしても、できるだけ全部まとめてトータルで売掛金/   売上高という仕訳伝票を一枚切る。これが「20世紀型」です。しかし、こうしてまとめて   しまったら、なぜそうなったのかということが分かりません。世の中の変化のスピードは、   昔に比べて飛躍的に速まりました。21世紀のビジネスにおいては、この変化のスピードに   対応することが重要です。そのためにはさまざまな情報をまとめてしまうのではなく、   できる限りさまざまな切り口で分析できるように個別明細のまま保持することが求められ   ています。   ERP導入においては、すべての業務をパッケージに置き換える「ビッグバン型」が必須と言   われた時期もありました。しかしこれも「20世紀型」の考え方です。   全社業務をすべて把握している人が存在し、その人が業務ロジックを完全に整理してキッチ   リと作り込むというのがビッグバン型の考え方です。しかしこれだけ変化が激しくなると、   システムを構築する上での前提条件がどんどん変わります。いざシステムができてみたら、   もう時代に合わなかったということさえ考えられます。それよりもいま求められているのは、   変化に対応できる柔軟さと、必要に応じて拡張できるスケーラビリティを持ったシステムな   のです。   欧米系ERPパッケージの多くは、大福帳型の統合データベースを持っています。かつてはメモ   リーの単価が高かったため、データの収容能力に限界がありました。そこで、仕訳により情報   を集約するとともに、情報を二重三重に別のデータベースに持たなくてもよいようにデータ   リンケージを行う密結合型の会計システムが出来上がったのです。これは20世紀型のコンセ   プトである、と私は考えています。   これに対して、日本型ERPのコンセプトでは、データの容量に制約されずに集約されない取引   明細情報を大容量で保持する贅沢な使い方を許しています。   メモリー単価が大幅に低下したこと、および情報技術の進化により、この21世紀的なアプローチ   の実現が可能となったのはほんのこの数年のことです。   密結合型にデータを数珠繋ぎにしなくても、データのインタフェースを揃える疎結合型のデータ   蓄積で、統合データベースを構築することができるようになったということです。   欧米系ERPの導入に際しては、しばしば「アドオンを最小にするため、パッケージに業務を合わ   せる」というアプローチがとられます。しかし、それでは企業固有の優位性を支えていたシス   テムまで捨て去ることになります。こうしたアプローチは果たして適切なのかどうか、様々な   議論があるポイントです。強制的に一挙にBPRを実行できる場合には、欧米系ERPパッケージ採用   にメリットがあるかもしれませんが、これが実現できる企業はそうは多くないと思われます。   既存システムに他社との比較優位性があるなら、それを残す方向でのシステム化を考えるべきです。

スピード経営をサポートします。 連絡先は→ tawara-consulting.com

TOPページ